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”過酸化水素” ”過酸化尿素”って何?

こんにちは。りゅう矯正歯科クリニックの松本基枝です。
さて、ドクターコラム第3弾の今回は、医療ホワイトニングで必ず登場する「過酸化水素」「過酸化尿素」をテーマに書いていこうと思います。
名前だけ聞くと理科の実験で出てきそうな薬品名です。“なんだか強そうで怖い…” かもしれませんが、決してそんなことはありません。
この過酸化水素、尿素のおかげで、医療ホワイトニングが成り立っていますので、今回は、この主役成分の正体に迫りたいと思います。

1. 過酸化水素とは?
まず、過酸化水素は歯科医院でのホワイトニングの主役です。 薄めたものは「オキシドール」として消毒薬にも使われている、昔から医療で使われてきた成分です。オフィスホワイトニングでは、比較的高濃度の過酸化水素を使用します。
●化学的にはどんなもの?どう作用するの?
過酸化水素(H₂O₂)は、分解すると 水(H₂O) 酸素(O₂) になります。 この“酸素が発生する力”がを利用し、 歯の内部に入り込んだ着色の分子を過酸化水素が分解するときに生まれたフリーラジカルによって、無色化します。
●分解を促進するためには?
過酸化水素は、光を当てる、温める、特別な触媒を使うと分解が進みやすいです。そのため、歯科医院では光照射機などを使用し、安全にコントロールしながら作用させています。

2. 過酸化尿素とは?
過酸化尿素は、過酸化水素を安定化させた形です。自宅でご自身で行うホームホワイトニング剤(ホームホワイトニングジェル)に、過酸化尿素という形で入っています。
●化学的には?
過酸化水素と尿素が結合した化合物で、 水分に触れるとゆっくり分解して過酸化水素と尿素に戻ります。つまり、最終的には過酸化水素として働くわけですが、 ホームホワイトニングは、毎日少量ずつ使用し、保管場所も常温、作用時間も比較的長め、ということで、ゆっくり穏やかに分解する薬剤が必要です。 そのため、ホームジェルには安定化させた形の過酸化尿素が使われます。

3. 医療ホワイトニングにおける役割
では、歯の内部の着色分子を分解し、無色化することが、この過酸化水素・尿素の作用です。
“化学的に着色成分を分解する”という、非常にシンプルで化学的な作用です。 が、中には強い成分が歯を傷めるのでは、と勘違いされる方がいらっしゃいます。実際、ネット上では歯が溶けたり、弱くなる、というような記載がある場合もあります。本当でしょうか?

4. 「歯を痛める」「傷つける」は本当?
結論から言うと、正しく使えば歯を傷つけません。 民間サロンでは過酸化水素が使えないことから、「過酸化水素=強い薬剤」 「医療ホワイトニングは危険」 というような投稿でイメージ戦略に使われることがあるように思っています。でも実際には、 エナメル質を溶かすといった作用や、歯の構造を壊すことはありません。作用としては“色素分解”のみで、臨床的にも、安全性は確立されています。
もちろん歯にむし歯があったり、亀裂があったり、普段から知覚過敏を起こしやすい方は、お薬で歯が沁みることがあります。
この辺りは次の項で説明しますね。

5. デメリットがあるとすれば?
人によっては、一時的な知覚過敏(しみる)ということが唯一のデメリットかな、と私は思っています。全員ではないのですが、ホワイトニングで知覚過敏(沁み)を感じる方は一定数いらっしゃいます。
知覚過敏とは、物理・化学的な刺激があると、象牙細管の中を満たしている内容液が動きやすくなり、刺激が伝わりやすくなるため、痛みを感じます。これを「動水力学説」というのですが、まだ完全にはこの知覚過敏のメカニズムは解明されていません。歯がジンジンするようなにぶーい痛みが起きるのですが、これは特に何もしなくても、数時間〜1日で自然に消失する一時的な反応です。しかし、なるべくなら痛みのない、快適なホワイトニング実現のため、当院では色々と対策をしています。
◇知覚過敏抑制剤(ホワイトニングペースト)を使うこと
これには、硝酸カリウムなどが知覚過敏に有効な成分が配合されており、象牙細管の刺激を抑えます。
◇歯の状態をしっかり観察し、リスク管理をすること
歯科衛生士がしっかりお口の中の状態を確認することで、知覚過敏が起きやすいかどうかをある程度予測することができます。
歯茎のレベルが下がっている、歯の根っこが露出している、歯の表面にクラック(ヒビ)が入っている等はリスクになります。
担当制ですので、毎回状況をお聞きしながら、ホワイトニング剤の濃度に配慮したり、使用する時間もご相談しながら進めていきます。
かくいう私も、歯肉退縮があり、ホワイトニングすると沁みやすいタイプです。日々シュミテクトを使用し、沁みにくくするようにしたり、工夫しています。患者さまにももちろんどうすればいいか対策をお伝えしています。

7. 最近注目されている“良い副次効果”
実際、ホワイトニングを継続的にされると、「歯がツルツルする」 「歯垢がつきにくい」 と気づかれることと思います。
過酸化水素を薄めたオキシドールは傷口の消毒などに使われています。 過酸化水素には、細菌の細胞膜を壊す作用があるため、 虫歯菌、歯周病菌が一時的に減少します。 その結果、 歯垢(プラーク)の溜まりにくい口腔内状態になって、歯がツルツルお口の中がすっきりとします。これは、虫歯予防や歯周病予防や口臭の軽減 にもつながります。 ホワイトニングは、白くなる、という美容の効果だけでなく、口腔衛生にもプラスの作用があるのです。

まとめ
いかがだったでしょうか?
過酸化水素・過酸化尿素と聞くと 「強そう」「危険そう」 というイメージが先行しがちですが、 医療で長年使われてきた安全な成分です。歯を傷つけずに着色を無色化できる唯一の方法ですし、実は口腔内の細菌も減らしてくれるという、思わぬラッキーな副次効果もあります。医療ホワイトニングについて正しく知っていただき、安心して治療を受けられることを大切にしたいです。